あれやこれや
column 2月3日

其の三 友禅の概要

ローケツ堰出し友禅 ローケツ堰出し友禅 無線友禅 無線友禅

『 友 禅 の 概 要 』

はじめに 一概に「友禅」を 大分類して技法のみで語ることは出来ません。友禅染めの技法の源流をたどると 遠く奈良時代まで遡ることとなります。
当時から 我が国では生地を防染する染色技法は すでに存在して①「臈纈(ろうけち)」②「纐纈(こうけち)」③「夾纈(きょうけち)」とともに『天平の三纈(さんけち)』と呼ばれていました。
「纈(けち)」とは防染を意味するものです。①はロウケツ染め ②は現在の絞り染め ③は板締めにあたるものです。
こうして現在の文様染めの原型的なものが出揃った古い歴史がありました。その後 時代と共に変遷しながら現在へと続きます。

【友禅の種類】
友禅は 技法上「手描き友禅」と「型友禅」に大別されます。
<手描友禅>
手描き友禅は 更に「糸目友禅」「堰出し友禅」「無線友禅」などに分けられます。

・糸目友禅は 筒に入れた糊で文様の輪郭を描いて その糸状の糊を 霧状の水で溶かし、堰を作り、乾いたら糸目状の内側に染料を差していく 日本独自の技法です。 (リンク先 其の壱 糸目友禅)
・堰出し友禅は 文様以外の染めない生地すべてに糊を置いていく技法です。伏せ糊ともいいます。
・無線友禅は 輪郭線のない、つまり 糸目という糸状の線を用いない友禅で 生地に均一に定着させるために豆汁や顔料を混ぜたものを使用し 生地の上から描き上げ 生地の下から火で炙り描く友禅「炙り描き友禅」や「豆描き友禅」と呼ばれるものと、濡らした生地に染料でぼかし効果を表現した「濡描き友禅」とがあります。

<型友禅>
型友禅には「写し友禅」と「摺り友禅」があります。

・写し友禅は 板に張った生地に 型を当てて そこへ染料と糊を混ぜた「色糊」(別名 写し糊)をヘラでしごきながら型紙を通して 生地の上に正確に写していく技法です。型友禅はいずれもその後 色定着のため蒸しの工程から 水洗いの工程へ・・・。 (リンク先 其の弐 型友禅)

・摺り友禅は 生地の上に型紙を当てて 小刷毛や 丸刷毛などを用いながら 外側から内側にぼかして立体感をつけることも出来る いわば 多色刷りの版画をも連想させる技法です。型友禅は量産することが出来るため 価格面で廉価にもなり普及しやすくなる利点があります。